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隠れたる美酒の宝庫 ~滋賀~

世界の酒の中でも、日本酒ほど水を厳しく選ぶ酒はありません。なぜなら、水の成分が製品の一部になるばかりでなく、原料溶解や発酵の場になったり、 麹の酵素を導く役割を持っているからです。また、日本酒の直接の原料である米の善し悪しも重要であり、特に蒸して軟質のもの、粒が大きく、心白(米粒の中 心部にある白いうるみ)のあるものが良いとされています。この酒造好適米の栽培は、山よりの傾斜地で、水がきれいなところが最適であり、昔からこういった 地を選んで酒蔵も建てられました。 県面積の6分の1を占める琵琶湖を有する近江の国は、東の伊吹山地、鈴鹿山地、西の比良、比叡産地に囲まれた盆地です。古くから穀倉地帯として知られ、 県産酒の多くは、こうした山々を源とする地下水で仕込まれています。名水あり、好適米あり…近江はまさに酒造りに最適な地であるといえます

銘酒のかげに、名水と好適米あり。

近江の国は琵琶湖のある関係上、昔から水陸の交通の要所であったため、湖岸の町や東海道、中山道沿いの宿場周辺には、たくさんの造り酒屋が栄えま した。また、当時盛んに活動していた近江商人は、京都をはじめ越後や関東にまでその活動範囲を広げ、江州店(だな)と呼ばれる数多くの酒屋がこの地の醸造 技術を他の土地に伝えるという重要な役割を果たしました。 近江の米作は非常に盛んであるため、酒造りの原料米を他県に提供しています。特によく使われているのは日本晴と玉栄で、多くの蔵がこの品種を酒米として 使用しています。個性化の時代を反映して蔵元によって味はそれぞれ違います。その蔵元特有の味わいある風味を醸し出しております。